設計書を書く際に、画面上に配置されているボタンやキーボードを押すことを「押下する」と記載します。
読み方は「おうかする」です。
「クリックで良いのでは?」と常々思っていたので調べてみました。
よくよく調べてみると、クリックと押下には明確な違いがあるものの、使う側も受け取る側も良くわかっておらず、正確に理解して使っている人はほとんどいないようです。
完全解決しておらず、最終的には現場での使い方や個人判断になると思うので、マメ知識と思って見てください。
最初の疑問
かなりの昔話になりますが、IT 業界に入りたての 2000 年頃、作成した設計書のレビュー指摘からの疑問でした。
細かくは覚えていませんが、以下のようなやり取りがありました。
ボタンはクリックじゃなくて押下にして
ボタンクリックと押下って何が違うんですか?
画面のボタンにカーソル移動して、Enter キー押したらクリックじゃないでしょ?
マウスクリックしてないんだから・・・
・・・
当時 VB (Visual Basic) をメインで開発しており、VB の処理はイベント ドリブン型といって画面で発生したイベントによって定義されたプロシージャ (処理) を実行するようになっていました。
ボタンを押したときに呼ばれるプロシージャがボタンクリック [button1_Click]のような名称なので、クリックが正しいと思いながらも、先輩の言うことには逆らわずにいました。
プログラミング言語によっては、処理方法も複雑なので正確に何が良いとは言えませんが、なんかもやもやしますね。
正しい使い方?
いろいろ調べましたが、意味合い的には以下の内容が近いようです。
正直、本当に正しいかは不明です。
ざっくり言うと以下のようですが、細かな動きを考慮するともっと面倒です。
クリック → ボタンを押して放す。 押下 → ボタンを押し下げる。下げるまでなので、上げる動作は含まれていない。
ちなみに、タップはマウスの代わりにタッチパッドに代わっただけと思われます。
自分で出した結論としては、キーボード、マウス関係なく、操作を受け取る側に合わせて使うことにしました。
例えば、
Chrome などのブラウザなどに配置されたボタンやリンクはクリック (ボタンを下げて上げる)
メニューなどボタンを下げただけで動作するものはマウスダウンやキーダウン
他には、
ボタンでつかんで移動 (放さない間) はドラッグ
移動して放す場合はドロップ
といったところでしょうか。
ブラウザで表示する画面などは html と JavaScript で表示しているので、JavaScript のイベントで書くのが正しい使い方になりそうです。
プログラム作成用の設計書などでは細かくしないと間違った動きになってしまうのである程度は重要です。
ただし、厳密に設計しているところは意外に少なく、気にしなくても問題ない場合もあります。
例外として、お客様用のマニュアル等では、逆に混乱を招く恐れがあるためボタンダウンなどはクリックと同じ動きであればクリックに統一してしまいましょう。
お客様のマニュアルには「検索ボタンを押下」よりも「検索ボタンをクリック」の方が伝わりやすいです。
マメ知識
エクスプローラーなどにある左上のメニューボタンって、ボタン放さなくてもメニューが開くんです!
知ってました?
「ファイル」を押したまま「閉じる」まで移動して「閉じる」で放すと 1回の動作でウィンドウが閉じれます。
参考
押下については、以下の記事を参考にさせていただきました。
押下は極力使いたくない
押下とクリックの違いを調べましたが、やはりボタン押下は違和感があるので、極力使わない方向で進めようと思います。
結局のところ、押下と記述したところで放すのか放さないのかわからないし、放さないなら「押したまま」とか「押し続ける」で良いし、放すなら「クリック」でも意味は通じます。
キーボードの文字入力はそのまま文字入力で良いし、Enter キーも「クリック」や「押す」で十分でしょう。
実は今までも押下がいろいろなところで使われているので、こっそりとクリックに変更していました。
今回調べたことで、使い方が間違っていたところも発見してしまいましたが、何となく方向性がつかめたので変えていこうと思います。
レビュー指摘されたら素直に直しますが・・・。(この辺は柔軟に)
まとめ
押下とクリックには明確に差があるようですが、受け取る側にも広まっていないためあまり気にする必要はなさそうです。
完全解決には至りませんでしたが、納得できるところまでわかったので良しとしましょう。
20年以上もやもやしていたのが少し晴れた気がします。
とはいえ、現場指示には逆らえませんが・・・。